ヨーグルト以外のブルガリアの食文化
ブルガリアの食文化について、日本ではヨーグルト以外ほとんど知られていないのが現状だと思います。
世界各国の料理レストランがある東京にもブルガリアレストランはほとんどありません。僕が知る限りでは2店ほどだったと記憶しています。
ブルガリアはかつてオスマン帝国の支配を受け、またアジアとヨーロッパの文化的な交差点という面もあるので、トルコやギリシャ、ルーマニア、アルバニア、旧ユーゴなど周辺国ときょうつう共通する特徴を持ちます。
今回は、主にヨーグルト以外のブルガリアの食文化についてまとめていきます。
1.家畜文化とブルガリア料理
ブルカリアは他のヨーロッパ諸国のご多分に漏れず、家畜文化を有する国の一つです。
この家畜文化を抜きにしてぶるがブルガリアの食文化は語れません。
ブルガリアでは、伝統的に家畜の中でも羊が最も多く飼育されてきました。
社会主義体制下の1989年ごろまででは、羊、豚、牛の中でも羊の占める割合は圧倒していました。その後1990年に社会主義政権が崩壊し民主化すると、家畜全体が激減しますが、それでも羊は相変わらず最も多く飼育される家畜です。
そのため、肉料理に羊肉を用いられることが多々あります。
以下に、主なブルガリアの肉料理を紹介します。
シュケンベ・チョルバ
トルコやギリシャ、ルーマニアなど近隣諸国にも一般的に見られる料理で、牛や羊の胃を煮込んだスープです。二日酔いに効くと信じられているそうです。しじみ汁みたいですね。トルコのものと異なり、ブルガリアではミルクを入れることが多いようです。酔いを醒ませるのか疑問に思うほどこってりしてそうですが、ハンバーガーで酔い醒ましする人とかも結構いるみたいなんで、案外効くのかもしれませんね。
ケバプチェ
ひき肉にクミンや塩コショウを加えてこね、細長く固めて焼いたハンバーグです。ブルガリアのみならずバルカン半島では非常にポピュラーな料理で、国民食とも言われています。こっちで言うカレーライスやラーメンのようなものでしょうかね。ブルガリアではヨーグルトソースをかけて食べたりもするようです。書いててお腹減ってきました。。
キュフテ
ミートボール。ブルガリアをはじめ、バルカン半島全域から中東、南アジアにかけて広く見られる料理で、ひき肉にスパイスや玉ねぎを加えて作ります。ブルガリアではパンにはさんだ「キュフテサンド」もあります。
サルマ
ロールキャベツのことで、ルーマニアではサルマーレ、トルコではドルマと呼ばれています。中東からバルカン半島全域にかけて、かつてオスマントルコの支配下にあった地域で非常にポピュラーな料理です。間接的に、我々はブルガリアの食文化に触れてることになるかは分かりませんが、意外なところで共通点があったりするものです。
カヴァルマ
土鍋で肉と野菜をトマトで煮込んだ料理で、トッピングに卵やチーズをのせて食べます。個人的に、ブルガリア料理の中では飯テロ度ナンバーワンだと思います。松屋あたりがメニュー化しないかなぁ、シュクメルリみたいに。絶対売れると思うんですけどね、カヴァルマ定食。
2.ブルガリアのチーズ
ブルガリアでもやはりチーズはなくてはならない食材の一つで、チーズを用いた様々な料理があります。
ブルガリアの代表的なチーズに、シレネと呼ばれる白いチーズとカシュカバルと呼ばれる黄色いチーズがあります。
シレネとは塩漬けにして作られるチーズのことで、ギリシャのフェタチーズとよく似ています。
カシュカバルとはイタリアのカチョカバロチーズのようなもので、モッツァレラチーズを熟成させたハードまたはセミハードタイプのチーズです。
ブルガリアでは特にシレネが国民食とも言われるほど。家庭でもよく作られ、ブルガリアの食卓に無くてはならない存在です。
以下、チーズを用いたブルガリア料理を紹介します。
ショプスカサラダ
オリーブ油またはヒマワリ油で和えたトマト、キュウリ、タマネギ、唐辛子の上にシレネをたっぷりかけて食べるサラダで、ブルガリア料理を代表するメニューでもあります。ラキヤというプラムブランデーのおつまみとしても人気のようです。体にも良さそうなうえ、非常に食欲をそそられますね。夏場に食欲のないとき、そうめんなんか食べないでショプスカサラダを食べればよいと思います。
ミシュマシュ
ショプスカサラダに溶けたチーズとトマトを入れて煮込んだもの。手抜き料理っぽいですが、これまた非常に美味そうです。ミシュマシュとはブルガリア語で「めちゃくちゃ」を意味するそうです。開き直ってる感じが好きです。
シレネ・ポ・ショプスキ
土鍋にシレネとトマトとサラミを入れ、卵をのせて焼いた料理です。さっきから美味そうなものばっかり出てくるんですが
3.デザート
スラトコ
ブルガリアのジャム。果物本来の味わいと食感が魅力です。毎朝のトーストに塗って食べたらそれだけでテンション上がりそうです。
ロクム
砂糖にでんぷんとナッツを加えて作る、トルコ由来のお菓子です。カラフルで、見ているだけでも満足しそうです。
バクラヴァ
生地の間にヘーゼルナッツやクルミ、ピスタチオなどを挟んで焼き上げてからシロップをかけた、カロリー爆弾のようなケーキ。でもそういうのに限って美味いんですよね。
まとめ
ブルカリアの食文化は、トルコなどかつての支配国による影響を受けながら、ルーマニアやアルバニア、セルビア、ギリシャなどの周辺諸国との共通点も持ち合わせつつ、独自の食文化も有する非常に魅力的なものです。もうちょっと日本国内での知名度が上がっても良いと思います。