アラブ料理〜レバノン編
アラブというと日本でイメージされるのは石油、イスラーム、砂漠、ラクダ、そして過激派や戦争などでしょうか。断片的で、偏ったイメージばかりが先行しているようです。
また、一般的にはあまり良いイメージを持たれていないようでもあります。これはメディアにも責任があると思いますが、一方で私たちもアラブに対して関心を持とうとすらしない事も、メディアによる偏った報道を助長させていると思います。
しかし、アラブ圏の食文化は非常に魅力的で多様性に富んでいます。
知らないのはもったいない。なのでぜひ知っていただきたいです。
今回はアラブの中でも野菜やオリーブオイルをふんだんに使用したヘルシーな健康食として、欧米でも名高いレバノン料理について書きます。
※ちなみにアラブというのは定義の仕方がいくつかありますが、一般的にはアラビア語が話される地域の事を言います。なので、ペルシア語のイランやパシュトー語・ダリー語のアフガニスタン、ウルドゥー語のパキスタンなどは一般的にはアラブには含まれません。
1.レバノン料理とは
レバノン料理は周辺のシリアやイスラエル、パレスチナなどの料理と共通点が多いですが、ギリシャやトルコの影響も受けています。
代表的な料理としてはやはり「ファラフェル」と呼ばれるひよこ豆のコロッケが挙げられます。
主食としてはフブズというイースト菌を使わないピタパンがあります。
主菜は肉が中心で、中東全般に見られる羊の串焼きが人気ですが、やはり肉食が文化として根付いてるだけあって日本よりもその種類が豊富です。
クッべ・ナーイエという、羊肉のたたきまも食べられます。
レバノンの首都・ベイルートには日本人はじめアジア人があまりいないのにも関わらず寿司屋がやたら多く、その理由が生の羊肉を食べる文化があるので生魚にもさほど抵抗が無いためだとか。普通に美味そうなんですが。
レバノンは中東の中でも比較的クリスチャンが多い国ではありますがやはりイスラム教徒が多数派で、
羊肉が非常にポピュラーです。
その分、当然バリエーションも豊か。脳みそも食べます。茹でてオリーブ油とニンニクで食べたりします。
羊の脳みそは僕も日暮里のイラン料理店で食べたことがありますが、案外さっぱりしていて中々でした。
新宿の上海料理店で豚の脳みそも食べたことがありますが、イメージと違い羊の方がさっぱりして食べやすかったです。
チーズをはじめ乳製品も人気です。
古来より羊、山羊、牛、水牛から乳を絞り乳製品を作る伝統があるので、バリエーション豊かな様々なチーズが食べられています。
とりわけ首都ベイルートでは、自国のチーズのみならず世界中のありとあらゆる国のチーズが手に入るとか。チーズ好きにはたまりません。僕も幼稚園の頃から既にブリ・チーズを好むぐらい、舌の肥えたませたガキだったので、レバノンに移住しようかと半ば本気で考えました。
また、アラブの中では比較的アルコールに寛容で、
特にレバノンワインは世界的にもその品質の高さで有名です。
主なレバノン料理
メッゼ(前菜)
レバノン料理は野菜が豊富で、レバノン系移民が多いヨーロッパでは健康志向も相まってポピュラーなんですね。
代表的なメッゼとして、フブズ(後述)をちぎりスプーンの代わりにしてすくって食べる、ペースト料理があります。
ペーストにしたヒヨコマメに塩やニンニク、レモン汁などを中央部が窪むよう加え盛り付け、そこにオリーブ油をたっぷり垂らして、周りに唐辛子の粉末をふりかけたもので、栄養満点です。
・ファラフェル
レバノン料理といえばこれ、というぐらい非常にポピュラーな、ひよこ豆のコロッケ。
全編アラビア語ですがレシピ動画
日本語によるレシピ動画もありました
潰したひよこ豆もしくはそら豆をスパイスを混ぜ合わせ、揚げた料理ですね。これはご飯が欲しくなりそう。
・カフタ
中東全域で見られる、ミートボール状の料理。
串焼きにしたり、オーブンで焼いたり、煮込んだりして食べます。
・ケバーブ
これも中東ではポピュラーな、肉の串焼き。
当然ですが豚肉は使われません。
牛肉または羊肉がポピュラーです。
・クマージュ
主食で、いわゆるピタパンです。
食後の飲み物
トルココーヒーがポピュラーです。
一方で、アラブ諸国に広く見られるアラブ・コーヒーも存在します。
カルダモンの香りがするコーヒーをお猪口のような器に注いで飲みます。
まとめ
レバノン料理は非常にヘルシーで、近年のエスニック料理の定着ぶりからして日本での流行も時間の問題だと思います。ジョージアの郷土料理が大ブームを巻き起こすぐらいですからね。何かきっかけさえあればブームになり、いつしか定着するのではないでしょうか。
日本でレバノン料理が気軽に食べられるようになれば、家庭料理にも登場するようになるかもしれませんね。